宇宙のランドスケープ
『宇宙のランドスケープ』
宇宙の謎にひも理論が答えを出す
(原題:STRING THEORY AND THE ILLUSION OF INTELLIGENT DESIGN)
レオナルド・サスキンド 著
林田陽子 訳
日経BP
天体観測技術の進歩によって宇宙が詳細に観測され物理理論の研究が深まるにつれ、我々のいるこの宇宙が信じがたいほど奇跡的な存在であることが判明してきた。この宇宙には多数の星からなる多数の銀河が生まれ、中にはには人間のような生物を生み出すような惑星系まである。宇宙がひとつであるならばこのことは人間原理(人間が存在できるように物理定数がきまっているとする原理)でなければ説明がつかないように思える。
ところがインフレーション理論や超ひも理論によれば、むしろ無数の宇宙が存在することの方が自然であるように見える。そして、宇宙の物理定数なるものは無数にある宇宙毎に異なる。このような無数の宇宙を生み出すバックグラウンドをサスキンドはランドスケープと呼んでいる。無数に様々な宇宙があるのであれば中には我々のような宇宙が存在してもおかしくはないことになる。
科学者の多くは宇宙はユニバースではなくマルチバースやメガバースからなるものと考えるに至っている。このような宇宙論のなかで、ランドスケープ宇宙論は本命のようにように思えるのであるが…。