地球外生命体 実はここまできている探査技術
『地球外生命体 実はここまできている探査技術』
著者:井田 茂
マイナビ新書
出版社の編集者への話の内容を加筆修正した本ということで、優しい語り口の「地球外生命体」になっている。一般の人が抱く地球外の生命のイメージについての誤解をひも解こうとしているような本ともいえる。
地球外生命探査というのは生命とは何かという生命の定義、生命の起源という問題と表裏一体であるとのことである。地球生命だけでなく地球外の生命のことも考えると生命の確たる定義はできないらしい。
人類は太陽と地球環境に適合して造られた生物である。生物の存在しそうな惑星ということになると、一般にはどうしても地球と同じような環境の星を探そうとしてしまう。
太陽系の場合も表面に水があうような星は地球以外にはないが(かつて火星にはあったようだが)、木星の衛星のエウロパや土星の衛星のエンケラドスの地下には液体の水があるという。水は地表面にあるのは例外的で、水がある星は圧倒的に地下にあるものが多いのかもしれない。‥となると、地下にある水の生物の方が普遍的なのかもしれないし、地球の場合でも生物は4億年前までは海の中にしかいなかった。
太陽は恒星としてはマイナーな存在で、赤色矮星の方がはるかに多く寿命も長い。しかし赤色矮星のハビタブルゾーンにある惑星の環境は太陽系の場合と全く異なるものになる。生命が存在するとしても地球のような生命体は期待できない。
更に、水ではないメタンのような液体の環境下でも生命は誕生するのかもしれない。地球外生命体が発見されたら、我々の予想を100%裏切るようなものである可能が高いのかもしれない。
は恐らく、極めてマイナーな存在なのかもしれない。