ワープする宇宙
『ワープする宇宙』
著者:リサ・ランドール
向山信治 監訳 塩原道緒 訳
KHK出版
標準モデルの階層性問題-ヒッグス機構が粒子に質量を与える仕組みで、ごまかしを加えないと成立しない…をいかに解決するかというのがこの本のメインテーマであると思う。大雑把な筋書きは以下ののようになっている。
●超対称性はこの階層性問題を解決するかもしれないが、その対称性は完全ではありえない。もし完全なら、すでに実験でスーパーパートナーが見つかっているはずである。
●ひも理論には高次元のブレーンが含まれる。このブレーンは超ひも理論の双対性-外見的に異なる別種のひも理論が互いに等しい、10次元の超ひも理論が11次元理論と双対を示す発見に重要な役割を演じた。
●重力はほかの粒子と異なりブレーンに閉じ込められておらず、全ての次元に広がる。
●もし余剰次元が存在するなら、その指紋はカルツァ・クライン(KK)粒子実験データで補足できるはずである。
●大きな余剰次元で階層性問題が解決されるとすればLHCがKK粒子の痕跡を捕えるだろう。
●余剰次元を一つ導入すると新しい方法で階層性問題が解決される。この5番目の次元は大きくはないが非常に歪曲している。
●ヒッグス粒子がウィークブレーンに閉じ込められているならば、全ての力の統一と階層性問題が解決される。
●時空の歪曲のしかたによっては、余剰次元が無限に伸びていながら、かつ目に見えない可能性もある。
●重力は、この世界の別の領域では別の次元があるかのようにふるまえる。局所集中したグラビトンは必ずしも空間全体に広がってはいない。
●私たちは、世界が四次元に見える、空間の孤立したポケットに住んでいるのかもしれない。