パラレルワールド
『パラレルワールド』
著者:ミチオ カク
訳者:斉藤隆央
NHK出版
アマゾンのKindle本をダウンロードして読んだ。まだ馴れないせいか、紙の本の方が親しみを感じるのであるが‥‥。
ミチオ カクは。最近NHKのテレビ番組「NEXT WORLD」や「ニューヨーク白熱教室」に登場しているので、科学技術番組に興味のある人にはお馴染みかもしれない。本職は「超弦理論」であるが、未来の技術や社会の姿を多数の専門家へのアンケート調査の集大成に基づいて紹介していることでも知られている。
『パラレルワールド』直訳すれは平行世界だが、マルチバースとほぼ同意味かもしれない。超弦理論や天文学などの研究者の裏話なども豊富に紹介されていて、これまで同系統の本と比べても興味深い。分かり易い語り口、平易な文章(訳者の技量にもよるのかもしれないが)で綴られている。
この本で目新しいと感じたのは2つある。ひとつは「十一次元のエコーを探す」、これは11次元空間の存在を実験で間接的に確認する手立ての紹介。もう一つは「超空間への脱出」である。こちらは理論物理学者が、パラレルワールドへの脱出や太陽系の寿命が尽きたあとに知的生命を時間と空間を超えて脱出させる方策など、SFを超えたとんでもない可能性まで真面目に考えていることが紹介されている。